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皆さんの多くがそうであるように、私も学生時代に化学を専攻していた時に初めて滴定の実習を経験しました。この時、私は手動の視覚的終点滴定の方法を学びました-その時の気持ちを今でもはっきりと覚えています。

滴定溶液を入れた手分析用ビュレットを用いて、サンプル溶液と指示薬が入った三角フラスコに、滴定溶液を 1 滴ずつ滴下しました。終点付近で滴下液 1 滴ごとに、サンプル溶液の色がわずかに変化していきましたが、私は自問自答しました。「すでに真の終点に到達したのだろうか? もう 1 滴追加する必要があるのかだろうか? それとも入れすぎたのだろうか?」。おそらく、あなたも同じ状況に陥ったことがあるでしょう!

心当たりがありますか?  関連するコラムもぜひご覧ください:

【コラム】どうやって滴定誤差を取り除くか?

あれから数年が経ちましたが、今ではメトロームが自動滴定の可能を提供してくれているおかげで、手動での滴定の難しさや課題に直面することがなくなったことを嬉しく思っています。

自動滴定で終点を決定する方法をお知りになりたい場合、必要なすべての答えをお教えいたします。以下の記事で、これらのトピックを取り上げます(クリックするとそれぞれのトピックにジャンプします):

さまざまな検出原理 – 概要

目視でなければ、自動滴定で終点(EP)をどのように検出できるのだろうか?視覚的な終点の認識(色の変化、濁りの出現、沈殿物の出現など)とは別に、滴定の 終点(EP) は、反応が完了したときに起こる化学的または物理的特性の変化の自動的にモニタリングすることによっても検出できます。

下の表に示すように、検出原理にはさまざまなものがあります:

表 1. さまざまな 終点(EP) 検出方法の原理

検出原理 説明

 

 

 

電気化学による終点(EP)

基準電位に対する電位測定     (電位差) 溶液の濃度依存電位 (mV) を基準電位に対して測定する.
定電流電位測定 溶液の濃度依存電位(mV)を分極性電極に一定の電流、すなわち分極電流Ipolを印加した状態で測定する.
低電圧電流測定 溶液の濃度依存電流(μA)を一定電圧を印加した状態で測定する.
光学による終点(EP) 溶液を通過する光の特定の波長における強度の変化を測定する.
導電率による終点(EP) 溶液の電気導電率の変化を測定する.
温度による終点(EP)
温度滴定は温度の変化を記録する. 反応が完了するとモル反応熱 ∆Hrが生成され、これは温度変化∆T として測定される.

ここでは、自動滴定で最も一般的に使用されている電位差滴定法と光度滴定法を、人の視覚で認識される 終点(EP) 検出法と比較しながら説明します。温度滴定法や導電率滴定法の原理について詳しく知りたい場合は、下記のコラムをお読みください。

Thermometric titration – the missing piece of the puzzle

Conductometric titration works where other methods struggle

電位差滴定の原理

上の表に示すように、電位差による終点(EP)の検出原理では、溶液の濃度依存電位(mV)は基準電位に対して測定されます。したがって、銀-塩化銀(Ag/AgCl)参照電極は、測定電極(pH感応ガラス膜または金属リング)と組み合わせて使用されます。一般的には、測定電極と参照電極の両方を組み合わせた複合電極が使用されます。

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図 1. 同じ滴定を手動滴定で行った場合 (左) と自動滴定で実行した場合 (右)

図 1 色の変化を伴う手動滴定を自動滴定に置き換えるととどのようになるかを簡単な例で説明します。

ステップ 1: 滴定溶液を添加する前 (滴定の開始)

ステップ 2: 滴定溶液の添加 - 終点(EP)に近づくと、色が変化し始めます。自動滴定では、この時点でセンサーが電位(mV)信号の変化を検出し、滴定装置は滴定溶液を少量ずつゆっくりと添加し始めます。

ステップ 3: 最終的に、滴定曲線の変曲点に対応する淡いピンク色で終点( EP) に達します。

ステップ 4: 終点(EP)を超えて滴定を続けると滴定は過剰となります. ここでは電位(mV)信号はかなり一定となります。
 

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図 2. 塩化物滴定(沈殿滴定) - 手動滴定から自動滴定への置き換え

このようにして、自動滴定の際に見られる特徴的なS字型の滴定曲線を得ることができます。

置き換えることができるのは中和滴定だけではありません。図2は、単純な塩化物滴定(沈殿滴定)がどのように置き換えることができるのかを示しています。滴定溶液、滴定溶液の濃度、サンプル分取量、サンプルの前処理は変わりません。

指示薬のみを銀リング電極であるAg ティトロード に置き換えることで、終点が明確に検出された滴定曲線 (図 2、右側) を得ることができます。

電位差滴定が可能な実例をさらにご覧になりたい場合は、以下のモノグラフをダウンロードするか、アプリケーション ファインダーをご利用ください。アプリケーション ファインダーでは、すべての終点(EP)検出原理の例をいくつか見つけることができます。

Monograph: Practical Titration

Metrohm Application Finder

光度滴定の原理

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メトロームのオプトロード電極

指示薬を用いた滴定は、今でも薬局方などで広く用いられています。手作業で行う場合、結果は文字通り、人の目に依存します。オプトロードを用いた光度滴定では、このような主観的な終点(EP)の決定を、人間の目に完全に依存しない客観的なプロセスに置き換えることができます。

ここでのメリットは、指示薬による化学反応の悪影響がないことです。つまり、標準操作手順 (SOP) を通常変更する必要はありません。

光度滴定の基本は、溶液を通過する光の特定の波長における強度の変化です。透過率は、測光における主要な測定変数であり、メトロームのオプトロードのような光度センサーで測定される、着色または濁った溶液の光の透過率(mVまたは透過率)を得られます。

測定波長は、8つの波長から選択ができ、滴定に使用されるほぼすべての指示薬に対応します(表2)。センサーのシャフトは耐溶剤性で、メンテナンスはほぼ不要です。滴定装置に直接接続し、指示薬を用いた自動滴定の正確性再現性を向上させます。

表 2. オプトロード – 光度滴定のための光学センサー

波長 色の変化: 使用可能な範囲
470 nm 黄色へ 460–480 nm
502 nm オレンジ/赤色へ 485–520 nm
520 nm 赤色へ 505–535 nm
574 nm 紫色へ   560–585 nm
590 nm 青色へ 575–605 nm
610 nm 青色/緑色へ 595–625 nm
640 nm 緑色へ 620–655 nm
660 nm 黒色/濁りへ 650–670 nm 

硫酸マンガンのEDTA滴定を手動滴定から自動滴定に置き換える方法の例も示します。上の例と同様、手順は変わりません。

Photometric EDTA titration of manganese sulfate according to Ph. Eur. and USP


自動滴定装置の使用に踏み切る準備はできていますか?詳しくは他のコラムをお読みください。

How to Transfer Manual Titration to Autotitration

 

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図 3. USP (米国薬局方) に準拠した硫酸マンガンのEDTA光度滴定

自動滴定のメリットの 1 つは、必要な試薬の量が少なくて済むため、無駄が少なくなることです。同じ指示薬 エリオクロムブラックT で、オプトロードの波長は  610 nm を用います。滴定曲線 (図 3、右側) は、測定電位(mV )信号の大きな電位変化を示しており、明確に定義された滴定の終点(EP)を示しています。

滴定に最適な波長がわからない場合は、関連するコラムをご覧ください!

Photometric complexometric titration

光度滴定用センサー(オプトロード)と電位差滴定用電極との比較

自動滴定に置き換える場合、オプトロードと他のメトローム電位差滴定用の電極を比較する際に考慮すべき点がいくつかあります。次の表に主な基準を示します。

表3. 光度滴定と電位差滴定による測定技術の比較

要因 電極による自動滴定 オプトロードによる光度滴定
標準作業手順(SOP)の改訂 電極の使用を含めるために標準作業手順(SOP)を更新する必要があるかもしれません. 同じ指示薬と終点(EP)パラメータを使用します.
指示薬 不要。試薬の準備と追加の作業が節約できます。 必要
濁ったまたは着色しているサンプル 色と濁度を無視できます 非常に濁った、または着色のあるサンプルは滴定に干渉する可能性があります
電極、センサーのメンテナンス 洗浄し、電極内部液を補充し、適切に保管します 洗浄し、乾燥させて保管します
耐溶剤性 一部の電極では、化学的適合性を考慮する必要があります 耐薬品性に優れたオールガラス製の密閉ボディ
交換スケジュール 6ヶ月-1年 破損または光源の消耗時1

1オプトロードの光源寿命は数万時間.

まとめ

自動滴定は非常に簡単で、明確に定義された終点が与えられるという大きな利点があります。

自動滴定に適した電極を含むこのような装置で作業するときはいつでも、学生時代を思い出して、満面の笑みを浮かべることになることを信じてください。主観性、時間のかかる手順、経済的な非効率性、トレーサビリティの無い作業とはさよならです!

もしかしたら、あなたは、今までの滴定作業を変える決心がついたかもしれない。

 

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作成者
Hoffmann

Doris Hoffmann

Product Manager Titration
Metrohm International Headquarters, Herisau, Switzerland

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