手動滴定における主なエラーの原因に関する以前のコラムをお読みになり、手動滴定を自動滴定に移行するために何をしなければならないか疑問に思われたかもしれません。このコラムでは、手動滴定を自動滴定に移行するための手順と注意点について、順を追って説明したいと思います。
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電極、センサーの選択
手動滴定を自動滴定に移行する際の最初の最も重要なステップは、終点を検出するための電極、またはセンサーを選択することです。
最も簡単な選択肢の 1 つは、光度滴定センサーを使用することです。これは、特に規格などで色指示薬の使用が規定されている場合に、人間の目をセンサーに効果的に置き換えことができます。しかし、光度滴定センサーは複数の滴定を 1 つにまとめて時間を節約することもできますが、pH電極や金属電極などの電極を使用する方が、指示は必要なく簡単な場合がよくあります。
電極の選択は、反応の種類、サンプル、および使用する滴定溶液によって異なります。中和滴定には、酸化還元滴定や沈殿滴定とは異なる電極が必要です。さらに、サンプル マトリックスは電極に大きな影響を与える可能性があります。マトリックスが複雑であればあるほど選択はより重要になります。たとえば、非水滴定では水性滴定とは異なる pH 電極を使用する必要があります。
滴定に最適な電極の選択に役立つよう、無料のパンフレットをご用意しました。以下からダウンロードできます。ご希望の場合は、電極ファインダーを使用するとさらに使いやすくなります。滴定の反応の種類と適用分野を選択すると、最適な解決策が提示されます。
サンプル分取量と滴定量の最適化
手動滴定を行ったことがある方であれば、終点を得るまでの滴定量が最大30 mL、あるいは40 mLを必要とすることはご存じのことでしょう。しかし、自動滴定装置には 10 mL または 20 mL のビュレットが装備されているのが一般的です。滴定中にビュレットを再充填すると誤差が生じるため、自動滴定ではサンプルサイズを小さくする必要があります。一般に、自動滴定では終点がビュレットの全容量の10%~90%になるようにすることを推奨しています。手動滴定を自動滴定に移行する際の第二段階は、サンプル分取量の最適化です。
忘れてはならないのは、サンプル分取量を小さくすると、終点までの滴定量も少なくて済むため、廃棄物の量も減ります。このことは環境にやさしくコストの節約にもつながります。
手動滴定を自動滴定に移行する際、分析に使用する溶媒(水または有機溶媒)の量を調整する必要がある場合があります。正確な結果を得るためには、ここに示すようにセンサーのガラス膜 Glass membrane(測定用)とダイアフラム Diaphragm(参照用)が溶液に完全に浸っていることが不可欠です。
適切な滴定モードの選択
反応の種類に応じて、一部の滴定反応は他の滴定反応よりも早く完了します。このため、自動滴定装置にはさまざまな滴定モードが装備されています。
最もよく使用される2つのモード(METモードとDETモード)は、滴定溶液の添加方法によって区別できます。METモードを使用する場合、添加のたびに常に同量の滴定溶液が添加されます。DETモードでは、終点にどれだけ近いかによって添加する滴定溶液の量が異なります。終点に近ければ近いほど添加量は少なくなり、手動滴定に似ています。
経験則として、中和滴定のような速い滴定にはDETモードを使用し、終点に突然到達するような遅い滴定(例えばビタミンCの定量)にはMETモードを使用します。
この無料ウェビナーでは、さまざまな滴定モードについて説明しています。
滴定剤を節約し、無駄を省くために、滴定の停止に基準を設定して使うことを勧めします。最も簡単な停止基準は停止容量の設定です。終点が常に同じ程度の容量である場合は、これが最も簡単な方法です。終点容量が変化する場合は、予想される終点の値に達した後に添加されるべき容量を定義するオプションを使用できます。一般的には、終点の後、約1 mLのストップボリュームを推奨しています。
まとめ:
手動から自動滴定に移行するのは、思っているより簡単です!
- 滴定に適した電極、センサーを選択してください
- サンプル分取量と溶媒の量を調整してください
- 反応に応じて滴定モードを選択してください
- 滴定速度と滴定溶液の滴定量に合わせて滴定を最適化
現代の滴定の実用的な側面についてさらに詳しくお知りになりたい場合は、当社のモノグラフをご覧ください。