元の言語のページへ戻りました

AN-NIR-080

2020-03

近赤外分析計によるディーゼルオイルの品質管理

Fast and straightforward determination of cetane index, flash point, CFPP, D95, and viscosity with NIRS


概要

セタン指数(ASTM D613)、引火点(ASTMD56)、CFPP:コールドフィルタープラグポイント(ASTM D6371)、D95 (ISO 3405)、および40 ℃ 粘度(ISO 3104)は、ディーゼルオイルの品質を決定する主要な測定項目です。これらの各種試験方法はそれぞれに異なる分析手法で測定する必要があるため、その分析労力は品質管理を行うにあたり非常に大きな負荷となります。

このアプリケーションノートではXDSラピッドリキッドアナライザーを用いて、可視及び近赤外(Vis-NIR)領域を測定することにより、ディーゼルオイル中の各種重要測定項目を迅速に簡便に精度良く同時分析できることを報告します。このコスト効率の良い可視-近赤外(Vis-NIR)分析法を用いることで、サンプル前処理をせずに、化学試薬も使用せずに、ディーゼルオイルの同時多項目分析が1分以内で可能となります。


実験装置

XDS RapidLiquid Analyzer with 8 mm disposable vial filled with a diesel sample.
図1. XDSラピッドリキッドアナライザーを用いて、ディーゼル オイルサンプルを8mm使い捨てガラスバイアルに充填し、温 調しながらの透過測定

XDSラピドリキッドアナライザー(RLA)を用いて、全波長域(400~2500nm)にわたり、透過測定モードにてディーゼルオイルサンプルを測定しました。温度制御サンプル試料室を30℃に設定し、温度調整した状態でサンプル測定を行いました。サンプル洗浄の手順を簡素化するために8mm光路長の使い捨てガラスバイアルを使用して測定を行いました。メトローム社Vision Airコンプリートソフトウェアを用いて、NIRスペクトル測定と検量線予測モデル計算を行いました。

表1:ハードウェアおよびソフトウェア装置の概要
装置 メトローム 製品番号
XDS RapidLiquid Analyzer 2.921.1410
Disposable vials, 8 mm diameter, transmission 6.7402.000
Vision Air 2.0 Complete 6.6072.208


結果

測定されたVis-NIRスペクトル(図2)を用いて、ディーゼルオイルの主要測定項目の検量線予測モデルを作成しました。各種検量線予測モデルの精度は、NIR予測値と従来分析値の相関図と各種統計値(FOM)を用いて評価を行いました。

Selection of diesel Vis-NIR spectra obtained using a XDS RapidLiquid Analyzer and 8 mm disposable vials. For display reasons a spectra offset was applied.
図2. XDSラピッドリキッドアナライザーを用いて、8mm光路長使い捨てガラスバイアルで測定された各ディーゼルオイルのVis-NIRス ペクトル(上記はスペクトルオフセットをかけて表示しています)。

Result cetane index

Correlation diagram for the prediction of the cetane index using a XDS RapidLiquid Analyzer. The cetane index lab value was calculated based on the density and distillation range.
図3. XDSラピッドリキッドアナライザーを用いたセタン指数の検量線予測モデルの相関図。セタン指数は密度と蒸留レンジから算 出されました。
表2:XDS RapidLiquidアナライザーを用いたセタン指数の予想のためのメリットの数値
統計値 数値
R2(寄与率) 0.991
検量線における標準誤差(SEC) 0.093
交差検定の標準誤差(SECV) 0.143

Result flash point

Correlation diagram for the prediction of the flash point using a XDS RapidLiquid Analyzer. The flash point lab value was evaluated using a dedicated flash point analyzer.
図4. XDS RapidLiquidアナライザーを用いた引火点予知のための相関図。引火点ラボ価値は専用の引火点アナライザーを用いて評価し ました。
表 3.XDS RapidLiquidアナライザーを用いて引火点を予知するための性能指数
性能指数 数値
R2(寄与率) 0.977
検量線における標準誤差(SEC) 2.22 °C
交差検定の標準誤差(SECV) 2.50 °C

Result CFPP

Correlation diagram for the prediction of CFPP using a XDS RapidLiquid Analyzer. The lab value was evaluated using flow meters.
図5. XDS RapidLiquidアナライザーを用いたCFPPの予想のための相関図。ラボ値は流量計を用いて評価しました。
表 4. XDS RapidLiquidアナライザーを用いたCFPPの予測のメリットの数値
統計値 数値
R2(寄与率) 0.973
検量線における標準誤差(SEC) 1.99 °C
交差検定の標準誤差(SECV) 2.24 °C

Result D95

Correlation diagram for the prediction of D95 value using a XDS RapidLiquid Analyzer. The D95 lab value was evaluated using distillation.
図6. XDS RapidLiquidアナライザーを用いたD95の推定のための相関図。蒸留を用いてD95ラボ値を評価しました。
表5:XDS RapidLiquidアナライザーを使用したD95の推定のメリットの数値
統計値 数値
R2(寄与率) 0.861
検量線における標準誤差(SEC) 3.07 °C
交差検定の標準誤差(SECV) 3.47 °C

Result viscosity

Correlation diagram for the prediction of the viscosity at 40 °C using a XDS RapidLiquid Analyzer. The viscosity lab value was evaluated using viscometry.
図7. XDS RapidLiquidアナライザーを用いた40 °Cでの粘性を推定するための相関図。粘度測定を用いて粘度ラボ値を評価しました。
表 6.XDS RapidLiquidアナライザーを用いた40 °Cでの粘性を推定するための性能指数
統計値 Value
R2(寄与率) 0.983
検量線における標準誤差(SEC) 0.038 cSt
交差検定の標準誤差(SECV) 0.047 cSt

結論

本研究は、ディーゼル試料の主要パラメータの分析のためのNIR分光法の実現可能性を実証しました。標準的な方法と比較して、試料調製は不要です。
試料はそのまま分析されるため、NIR分光法を用いる場合には簡単な操作が可能になります。
すべての主要パラメータの情報を表示し、最新の情報を取得するには、メトロームのプリキャリブレーション情を確認してください。

プリキャリブレーション

お問い合わせ

メトロームジャパン株式会社

143-0006 東京都大田区平和島6-1-1
東京流通センター アネックス9階

お問い合わせ