AN-NIR-086
2020-07
近赤外分析計(NIR)によるディーゼル排気液 (DEF) の品質管理
Fast determination of urea content with high accuracy
概要
ディーゼル排気液(DEF)の品質管理は、最適な触媒性能を確保し、ディーゼル車の排気システムへの損傷を防ぐために重要です。尿素含有量を測定する標準的な方法は、屈折率の測定 (ISO 22241-2:2019) であり、この方法は迅速ですが、他の方法 (例えば、HPLC)ほど正確ではないという問題点があります。このアプリケーションノートでは、DS2500リキッドアナライザー用いて、ディーゼル排気液(DEF)中の尿素定量を高精度に迅速に行えることを実証しています。サンプルの前処理不要で、化学薬品を用いない可視-近赤外 (Vis-NIR) 分析法により、ディーゼル排気液(DEF)の分析が1分以内で可能となります。
結果
測定した16種類のサンプルの全Vis-NIRスペクトル (図2)を用いて、尿素含有量の検量線予測モデルを作成しました。検量線予測モデルの精度はNIR予測値と従来分析値の相関モデルにより評価しました。それぞれの統計値(FOM)は、日常(ルーチン)分析時の予測精度を表します。
図2.
DS2500リキッドアナライザーで測定した、尿素含有量の異なるディーゼルエンジン排出液(DEF)のVis-NIRスペクトル
図3.
DS2500リキッドアナライザーを用いたディーゼルエンジン排出液中の尿素含有量の予測検量線モデルの相関図
統計値 | 数値 |
---|---|
R2 | 0.999 |
検量線標準誤差(SEC) | 0.23% |
交差検証時標準誤差(SECV) | 0.25% |
結論
このアプリケーションノートでは、ディーゼルエンジン排液(DEF)中の尿素含有量をDS2500リキッドアナライザーを用いて精度良く測定できることを実証しました。Vis-NIR分光法は高精度の高速定量を可能にし、標準法(従来の分析法)の代替法となりえます。さらに、密度のような物理的パラメーターについても同様のNIR分光法が応用可能であるか検証する必要があります。
測定項目 | 分析手法 | 測定時間 |
---|---|---|
尿素含有量 | HPLC | ∼5 分 (サンプル調整) + ∼10 分 (HPLC) |
Internal reference: AW NIR CH-0015-051520