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AN-NIR-022

2020-03

近赤外分析計 (NIR) によるガソリンの分析 (セタン指数、TAN、芳香族、硫黄など)

Rapid determination of RON, MON, AKI, aromatic content, and density


概要

近年、燃料による環境負荷低減を大きく推進する目的で燃料品質の向上が求められています。これには、エンジンをより効率的にすることと、燃料中のオクタン含有量を増加させて、より高い圧縮エンジンを利用できるようにすることが必要です。

ガソリンの重要な品質パラメータ、すなわち、研究用オクタン価(RON、ASTM D2699-19)、モーターオクタン価(MON、ASTM D2700-19)、アンチノック指数(AKI)、芳香族含有量(ASTM D5769-15)、および密度の決定には、従来、いくつかの異なる分析方法が必要であり、これらの分析には手間がかかり、教育された分析者が必要となります。このアプリケーションノートでは、可視及び近赤外スペクトル領域(Vis-NIR)の測定が可能なXDSラピッドリキッドアナライザーを用いて、ガソリンのマルチパラメータ分析を行うための費用効率の良い高速分析が可能なことを実証しました。


実験装置

図1. XDSラピッドリキッドアナライザーと8ミリ使い捨て バイアルにガソリンサンプルを充填して温度コントロール しながらの透過測定

XDS ラピッドリキッドアナライザー(RLA)を用いて、ガソリンサンプルを全波長領域(400~2500nm)にわたって透過測定を行いました。温度
コントロール機能を内蔵したサンプルホルダーを用いて、高精度の再現性の良いスペクトル測定を行いました。ガソリンサンプルは光路長8mmの使い捨てバイアルを使用し、サンプル間の洗浄作業は不要としました。メトローム社Vision Airコンプリートソフトウェアを用いて、スペクトル測定と検量線モデルの解析を行いました。

表1:ハードウェアおよびソフトウェア装置の概要
装置 メトローム製品番号
XDS RapidLiquid Analyzer 2.921.1410
Disposable vials, 8 mm diameter, transmission 6.7402.000
Vision Air 2.0 Complete 6.6072.208


結果

測定されたVis-NIRスペクトル(図2)を用いて、いくつかの主要なガソリンサンプルの測定項目の検量線予測モデルを作成しました。各項目の検量線予測モデルの精度は、検量線予測値とリファレンス値(従来分析法)の相関関係を示す統計値(FOM)で評価しました。それぞれの統計値(FOM)は、日常分析時の予測精度を示します。

図2. XDSラピッドリキッドアナライザーで8mm使い捨てガラスバイアルにて測定されたガソリンサンプルのVis-NIRス ペクトル。上記の表示はオフセット表示にしています。

Result RON value

図3. XDS ラピッドリキッドアナライザーを用いたガソリンサンプル中のR O N 値の検量線モデル相関図。 従来分析(ラボ)値は、規格化された条件下でのCFRエンジン試験によって得られました。
表2. XDSラピドリキッドアナライザーを用いたガソリンサンプル中のRON値を予測する検量線モデルの統計値
統計値 数値
R2(寄与率) 0.989
検量線における標準誤差(SEC) 0.26
交差検定の標準誤差(SECV) 0.29

Result MON value

図4. XDSラピッドリキッドアナライザーを用いたガソリンサンプル中のMON価の予測のための検量線モデルの相関図。    従来分析(ラボ)値は、規格化された条件下でのCFRエンジン試験によって得られました。
表 3. XDSラピッドリキッドアナライザーを用いたガソリンサンプル中のMON価の予測する検量線モデルの各種統計値
統計値 数値
R2(寄与率) 0.889
検量線における標準誤差(SEC) 0.50
交差検定の標準誤差(SECV) 0.53

Result aromatics content

図5. XDSラピッドリキッドアナライザーを用いたガソリンサンプル中の芳香族化合物含有率の推定のための検量線モデルの相関図。従来 分析(ラボ)値は、ガスクロマトグラフィー/質量分析により決定しました。
表 4. XDSラピッドリキッドアナライザーを用いたガソリンサンプル中の芳香族化合物含有率の各種統計値
統計値 数値
R2(寄与率) 0.974
検量線における標準誤差(SEC) 0.97 vol%
交差検定の標準誤差(SECV) 1.07 vol%

Result density

図6. XDSラピッドリキッドアナライザーを用いたガソリンサンプルの密度予測のための検量線モデル相関図。ラボ値は密度計を用 いて得られました。
表5. XDSラピッドリキッドアナライザーを用いたガソリン密度の予測の検量線モデルの統計値
統計値 数値
R2(寄与率) 0.973
検量線における標準誤差(SEC) 0.0021 kg/L
交差検定の標準誤差(SECV) 0.0023 kg/L

Result AKI value

図7. XDSラピッドリキッドアナライザーを用いたガソリンサンプル中のAKI値の検量線モデル相関図。従来分析(ラボ)値は、規格化 された条件下でのCFRエンジン試験によって得られました。
表 6. XDSラピッドリキッドアナライザーを用いたガソリンサンプル中のA K I 値の予測する検量線モデルの統計値
統計値 数値
R2 0.945
Standard error of calibration 0.45
Standard error of cross-validation 0.46

結論

このアプリケーションノートでは、RON、MON、AKI、芳香族含有量、密度の測定が近赤外分析(NIR)法で可能であることを示しました。従来の湿式分析法(表7)と比較すると、結果が得られるまでの時間が近赤外分析(NIR)法で大幅に短縮され、1分以内の測定が可能な近赤外分析(NIR)の
有用性が明らかになりました。

表 7. 従来の試験手法に要する時間
項目 試験法 測定に要する時間
RON CFR エンジンテスト ∼30 分/サンプル
MON CFRエンジンテスト ∼30 分/サンプル
AKI CFR エンジンテスト
∼30 分/サンプル
Aromatic content ガスクロマトグラフィ ∼45 分/サンプル

最新の主要測定項目の検量線情報は下記のメトローム社のプリキャリブレーション情報をご確認ください:

Pre-calibrations

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