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ポテンショスタット / ガルバノスタット (電気化学測定装置) のよくある質問 Q&A

ポテンショスタット/ガルバノスタット(電気化学測定装置)に関する質問のうち、 代表的なものをQ&A式でまとめました。

Q1
電気化学測定で何がわかりますか?
A1

電気化学とは電子の授受およびそれに付随する現象を扱う化学分野です。
電位を印加することによって化学反応を起こさせ、電子の授受(電流)を測定することなどによって反応量等を定量できます。電池反応をはじめ、生体反応など広い分野に応用可能です。

Q2
なぜ電極を3本使用するのですか?
A2 電気化学では作用極、対極、参照極から成る三電極系での測定が一般的です。電極上で反応が起きることによって電極周辺のH+の活量 (水素イオン濃度) が変化して電位が変わってしまいます。このため、正確な電位の測定のために基準となる参照極を導入します。作用極、参照極間の電位を測定し、このとき作用極、対極間に電流が流れています。

Q3 電解液は何を使用したらいいですか?
A3 電解液はイオン電導性を持っている必要があります。また、印加 (測定) したい電位で安定な電位範囲(電位窓) を持つ電解液を選択する必要があります。

Q4 電極は何を使用したらいいですか?
A4 作用極:目的の電位範囲で安定である必要があります。また、電極材料によっては負側の電位で水素発生しやすさに違いがあるため注意が必要です。一般的に白金やカーボンが用いられます。
対極:目的の電位で安定である必要があります。また、対極では作用極と逆の反応が起きているため、電極面積が小さいと作用極反応を制限するおそれがあります。一般的に白金がよく用いられます。
参照極:可逆電位が長時間安定で再現性がよい必要があります。一般的に標準水素電極(SHE)や銀-塩化銀電極が用いられます。

Q5 開回路電位 (OCP) とは何ですか?
A5 電極間に電位を何も印加していないときの電位を開回路電位 (OCP:Open Circuit Potential) といいます。OCP測定中に大きな電位変化が起きているときは、電極上で何かしらの反応が起こっている可能性があるため、電位変化が落ち着くまで待ってから測定することをおすすめします。電位変化がおさまらない場合は自発的な化学反応が起きている可能性があるため、そのままでは正確な測定値が得られないことが懸念されます。

Q6 サイクリックボルタンメトリーのカーブにノイズが出てしまいます。考えられる原因は何ですか?
A6 電極接続の接触不良、コンタミ(電極汚れ、電解液汚れによる副反応)、電源・周囲の電化製品からの電磁波や振動が原因の可能性があります。

Q7 電気化学測定は温度による影響がありますか?
A7 温度による影響はあります。測定電位は温度によって変化する他、一般的な化学反応と同様に温度によって反応速度が変化します。

Q8 電気化学測定装置で測定中に脱気は必要ですか?
A8 測定する電位範囲等によっては溶存酸素の還元反応が起きる可能性があります。そのような場合は不活性ガスでパージすることで精度のよい測定結果が得られます。

Q9 電気化学的インピーダンス分光法 (EIS) とは何ですか?
A9 電極に正弦波入力 (交流) で電位 (または電流) 信号を与えたときの応答電流 (または電位) を比較することによって電極反応の伝達関数としてインピーダンスやアドミタンスを求める手法です。フーリエ変換によって各周波数での伝達関数を得ることにより、反応機構の解析などに役立てることができます。
交流インピーダンス測定とも呼ばれます。

Q10 電気化学分光分析とは何ですか?
A10 電気化学測定と分光分析を同時に行い、各電位での着目物質の変化をリアルタイムで追跡する手法です。

Q11 スクリーンプリント電極はどのような構造でどのような用途に使われますか?
A11

小さな基板の上に印刷技術で作用極、対極、参照極を設け、少量のサンプルで電気化学測定が可能です。
本格的な電極など揃える必要がなく学生実験、バイオテクノロジー、少量の合成しかできない有機合成物などの分析に向いてます。

 スクリーンプリント電極について

Q12 金属の腐食速度の測定はどのように行いますか?
A12 海水浸漬試験など1~20年かかる試験法もあるが、電気化学測定は短時間(5~10分)で測定できる腐食試験です。
カソード分極曲線、アノード分極曲線から得られるターフェル係数から腐食電位、腐食速度が計算されます。

腐食 アプリケーション - NOVAを用いた腐食パラメータの計算