AN-NIR-113
2023-04
近赤外分析計(NIR)による異性体中の研究用オクタン価(RON)定量
NIRS offers users fast, efficient analysis with low running costs
概要
軽質ナフサ異性化は、製油所が現在のガソリン仕様に適合する高オクタン異性体生成物を生成するために使用されます。異性化はパラフィン分子の分岐度を増すことにより軽質ナフサのオクタン価を増大させる。標的生成物の研究用オクタン価(RON)は、種々のプラント生産パラメータ(例えば、温度または水素対炭化水素比)に依存します。
プラントプロセスを最適化するためには、信頼性が高く迅速な分析法が鍵となります。
異性体中のRONを決定する標準的な方法は、高価でメンテナンス集約的なエンジンです。これとは対照的に、研究用オクタン価は近赤外分光法(NIRS)でも分析できます。NIRSは、試料調製や化学薬品を必要とすることなく、1分以内の正確な結果を提供します。
実験装置
メトロームDS2500液状アナライザー(Fig.1)を用いて、400~2500nmの全波長領域にわたり、RONを変化させた63種類の異性試料を透過型測定しました。 内蔵された温度コントローラーにより、35 ℃の一定のサンプル温度で測定の安定性が確保されました。便宜上、8mmの光路長を有する使い捨てバイアルを使用し、洗浄手順を旧式にしました。メトロームのビジョンエアコンプリートソフトウェアパッケージは、データアクイジションと予想モデル作成に使用されました。
表1:ハードウェアおよびソフトウェア機器の概要
装置 | 製品番号 |
---|---|
DS2500 Liquid Analyzer | 2.929.0010 |
DS2500 Holder 8 mm vials | 6.7492.020 |
Vision Air 2.0 Complete | 6.6072.208 |
結果
得られたVis-NIRスペクトル(図2)を用いて、アイソメレート中の研究用オクタン価の定量化の予測モデルを作成しました。交差検証アルゴリズムに基づく相関図を用いて予測モデルの品質を評価しました。R2の数値>0.98は、VisNIR予測と参照ASTM法との間に高い相関を示します。それぞれの性能指数(FOM)は、ルーチン分析中に予想される精度を表示します(図3)。
結果:RON(オクタン価)
各種統計値(FOM) | 数値 |
---|---|
R2(寄与率) | 0.986 |
検量線標準誤差(SEC) | 0.73 |
相互検証標準誤差(SECV) | 0.76 |
結論
このアプリケーションノートでは、異性化ガソリン中のRON(オクタン価)の測定が近赤外(NIR)分析法で可能かを検証しました。従来分析手法(CFRエンジンテスト)と比較して、結果が得られるまでの時間が近赤外 (NIR) 分析法は1分以内と圧倒的に短いということが分かりました (表2)。
表2: 標準参照法ASTM D2699によるRON値の測定結果までの時間
測定項目 | 分析手法 | 測定結果が得られるまでの時間 |
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RON(オクタン価) | CFR engine test | ∼30 分/サンプル |