AN-T-175
2020-06
自動滴定装置によるタバコに含まれるニコチンの測定
Cost-efficient method using non-aqueous titration
概要
ニコチンは窒素を含むアルカロイドで、副交感神経系を刺激し、高い依存性を持ち、人の健康にとって危険な物質です。その毒性の閾値は30–60 mg、または0.8 mg/kgとされています。そのため、タバコ製品中のニコチン含有量の測定は非常に重要です。このアプリケーションノートでは、タバコ中のニコチンを非水滴定によって測定する、簡便で分かりやすい方法を紹介します。
滴定を行う前に、タバコからニコチンを抽出する必要があります。抽出は、適切な溶媒と塩化バリウムを用いて行います。塩化バリウムを使用することで、使用しない場合と比較して、より選択的にニコチンを抽出することができます。
また、比較のために、ガスクロマトグラフィ(GC)およびイオンクロマトグラフィ(IC)による測定結果も示しています。クロマトグラフィ法と比較すると、滴定は「絶対法」であり、分析の前にシステムを校正する必要がないという利点があります。
サンプルとサンプル前処理
ニコチンは、粉砕したタバコの葉から、塩化バリウムとクロロホルムとトルエン(1:9の比率)を含む抽出混合液を用いて抽出されます。
ガスクロマトグラフィ(GC)による測定では、この抽出法がニコチンに対して非常に選択的であることが確認されました。GCクロマトグラムには、唯一のピークが現れただけでした。
実験
図1.
タイトランド システムは、907とtiamoを組み合わせた構成です。
分析は、Solvotrode easyClean電極 を装備した 自動滴定装置 907 タイトランド を使用して実施されます。抽出溶液の一部をビーカーに移し、電極のガラス膜とダイヤフラムを浸すためにエタノールを加えた後、氷酢酸中の標準化された過塩素酸で滴定を行い、最初の当量点を過ぎるまで進めます。
結果
すべての分析において、急峻で滑らかな滴定曲線が得られます。
図2.
タバコからニコチンを抽出後、過塩素酸で滴定した際のニコチンの滴定カーブ
n |
Mean value / % | SD(abs)/ % | SD(rel) /% | |
---|---|---|---|---|
滴定 | 3 | 1.355 | 0.014 | 1.03 |
IC | 1 | 1.41 | - | - |
GC |
5 | 1.313 | 0.005 | 0.40 |